KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30

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「望花」胸に入ってきた素敵な言葉です。高句麗の地へ向かう道中に出会った言葉です。忘れまいと、すぐにノートとペンを出し、書きとめたのです。よく見ると、町のあちらこちらに「望花」と書いてありました。地名とわかりました。人々の暮らしが貧しいことは一目でわかる地です。後日、日本に帰った時、偶然見たテレビのドキュメンタリー番組で、「望花」地区の貧しさがとりあげられていました。美しい地名とは裏腹に、人間の生きる暮らしは、貧困にあえぎ苦しんでいることが、いつも心の痛みとなり残っています。「望花」という地は、いつも故郷高句麗の地に行く時に通る道です。
胸は懐かしさに震え、心はときめき車窓から眺め通る道です。行く時は、心はずませ、夢ふくらませ向かいますが、帰る時は、車窓から五女山が見えなくなるまで見、いよいよ見えなくなり、ふり返っていた態勢を直し、前を向く瞬間、淋しさと悲しみが胸をよぎります。そして又、「望花」を通り、帰途につくのです。
 
いつから故郷に帰りたい夢を抱くようになったのでしょう。
 
それは、1998年1月1日、偶然開いた本の中で「五女山城」の写真を見た瞬間からです。全ての時間が止まったかの様に、心はその写真に魅せられ、時も音も何もないあの瞬間から、出会いははじまったのです。現実は厳しいです。けれど世界が平和になれば、自由に名も隠さず、故郷に帰ることも出来、行き来も叶うでしょう。そして、貧困ゆえに苦しみ、生命なくすような状況もなくなるでしょう。
私は、その時の為に、望みを失わず、いつも未来を心に生きていきます。