KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30

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 小学生の頃、10才位の時だと感じています。
 
「ドクトルジバコ」というロシアの映画を観たのです。ラーラのテーマという曲は、ずっと心に残っており、その後毎日レコードで聞いていました。私は学校から帰ると、夜寝るまで音楽を聞いていました。ラーラのテーマを聞く度に、広大なロシアの大地に春が訪れ、黄色の花、白い色、紫、ピンク、赤…と色とりどりの花々が一斉に咲き、風に揺れる風景が胸一杯に広がるのです。春は喜びです。そして、春が喜びであるだけに、冬の辛さ、人間の宿命を生きる人生の悲しみも身にしみ感じ、美しい喜びの春の訪れを感じる光景に魂揺さぶられ、涙ばかりがこみ上げるのです。その後、この映画との偶然の出会いは続きました。何度観たことでしょう。その度、胸の奥から突き上げる慟哭にしゃくり上げ号泣してしまう私でした。
 高句麗滅亡後、王族は日本とロシアへ散っていったと聞いています。私にとり、ロシアは未知の地であり、魂揺さぶられる地であります。
 いだきしん先生にお会いし間もなくの頃、「あなたはどこの国に興味を持っているの」と聞かれた時、「ロシアやポーランド」と答えたのでした。「問題解決型だね」とおっしゃったことも覚えています。
 3月に初めてロシアの地へ降り立った時のあのなつかしさ、親しみ深く、ふるさとに帰った様な気持ちになったのは何なのでしょうかと小説「麗花」を書く度ふと考えます。あのなつかしい胸の疼きは未来への扉を開くようなときめきを感じます。私は、小説「麗花」を書く為に、ロシアで感じた「文学の香り」の部屋に模様替えしたのです。