KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30

エッセイ.psd

 アルメニアへ発つ前日、KEIKO KOMA Skyrocket Centerの「高麗」の看板に挨拶をしたい気持ちがありながらスケジュール的に無理と考えていたのですが、いつになく順調に車を走らせ、5分間だけなら何とか寄れるのではと計算し、急遽Skyrocket Centerに向かいました。愛車がいつものように故障し修理に出しておりました。大きなコンサート前になるといつも車が身代わりになってくれていると感じる程、故障をします。戦車に似せて作ったゲレンデに乗っていましたので、簡単に狭い所を走れる車ではありませんでしたが、全ては順調にSkyrocket Centerまで導いてくれました。
 すぐに地下へと階段を降り、「高麗」の看板の前に坐りました。目を閉じると、高句麗代々の王が勢揃いし、身支度をし、共に旅立つ準備をしていました。意識の枠が外れてからみる私の生命の光景も、「高麗」の看板の前にたたずみ見える光景も、この世のものではないのです。高句麗代々の王は亡くなっている方々ばかりですからこの世でないのは当然なのですが、在り方がまるで変わってしまったのです。元々あの世の人をこの世ではないと感じ、驚き震えてしまうという感覚を、自分でもどのように整理してよいかわからず、戸惑っています。そして、私の内面もこの世ではないのです。正直、Skyrocket Centerの「高麗」の看板の前で見た光景は、ふれたことも見たこともない世界であり、恐くて身が震えたのです。けれど、代々の王は私と共に旅立とうと身支度をし、身づくろいを整え、整然としていましたので、共に在ることで守ろうとしていることを感じ、勇気づけられました。
 アルメニアの首都エレバンの中心であるアルメニアの心という意味を持つ共和国広場に立つ「巨大な私」の写真を見る度に、この世もあの世もない世界を見、時に驚き、身震いし、時に何の境もない無限なる世界を感じ、希望を感じ、体の状態と同様に精神状態も揺れ動く日々でした。アルメニアへ向かう飛行機の中で先生にお聞きしました。何と聞いたかは覚えていませんが、自分の生きている世界がこの世でないということをお話ししたのです。先生は「この世もあの世もないよ」とあっさりと答えられるその表情に、生きている世界も次元もまるで違うのだと感じました。一見目に見える姿は人間皆同じですが、生きている世界がこれ程までに違うことを生まれて初めて知りました。先生は、何十年も前から違う世界、次元で生きながら、私達と共にはたらいたり動いていくことは、さぞかし大変なことでしたでしょうと感じました。天のはるか向こうの世界は何の境もなくひとつと常に詩にあらわしていますが、真であります。意識の枠が外れた私は、あの世もこの世もない世界で生きる生命の内の光景がみえ、言葉にしはじめるようになりました。
初めてアルメニアを訪れた2008年3月、アルメニアの空間に白い光が舞っていました。ちょうど大地には杏の花が一面に咲き誇り、アルメニアの大地は白い世界でした。天空も白い光が舞っているように見えました。私は白い世界は何か死を連想してしまい、恐怖を感じます。アルメニアより帰国し2ヶ月程経った頃のある朝、先生からお電話を頂きました。いきなり「大丈夫か」と聞かれ、私は「大丈夫です」と答えました。「何かおかしいので調べてみなさい」とおっしゃったので、目を閉じ、自分の状態を調べました。最近よく見える白い光が頭の中にあることが気にかかり、先生にお話ししました。先生はやっぱりとおっしゃり、意識が真白くなると死ぬのだよとおっしゃるのです。大変驚きながらも、心の内で納得する感覚がありました。東明王も意識が真白という状態で亡くなったんだろうねと続けてお話し下さいました。私からみると、生命とひとつにならない意識は黒くみえます。黒い意識は生命に負担がかかり傷つけていきます。自分の生命も傷つけますが、人の生命も自然の生命も傷つけます。意識が白くなると、この世では生きる世界がないので死ぬよりなくなっていくというお話は驚きでありました。今までは意識が真白という状態が悟りという状態で、悟ると死ぬよりない人間の社会は悲しいばかりです。私達は先生がいらっしゃるので意識が白くなっても生きていけることの計り知れぬ程の尊さを、何によって表現出来ることでしょう。生きて、表わしていきたいと心の底から望みます。私は、本来生命とひとつの意識はどのような状態かと尋ねると、あえて言うならば透明な感じとお聞きしました。私は、アルメニアにて書いた詩が蘇えりました。「宇宙の生まれる3段階前の世界によってより答えはない」という未来が示された時に透明な世界の詩を書いていたのです。先生の状態は全く透明であり見えません。初めてお会いした時、透明人間と心の中で呼んでいたのです。生まれつき人間の内にある運命がみえる私は、人間の内は真黒に見えていました。この世で透明な人に会ったことは初めてでした。生命とひとつで生きる人間は空間とひとつであり、何の境もないとみえます。意識が真白になりこの世では生きる世界がなく死ぬよりない今までの人間の生き方を乗り越え生きられますことの感謝の気持ちは尽きず、新しい世界を生きていきたいと心底望みます。そして9月15日に意識の枠が外れ、あの世もこの世もない世界で生きるようになり、アルメニアへと辿り着きました。3月にアルメニアにて見た白い世界、透明な世界はこの時を示していたのだとわかります。生命は常に未来に向かい生き、未来からのメッセージを示され生きています。