KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30

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bind_86.jpg 柳揺れる北上川の光景がとてもなつかしく、涙がこみ上げる程、恋しいのです。いだきしん先生にお会いする前、生きる事の意味を考え、答えを求めて北上川に導かれました。初めて来た所なのに始めてではない光景に魅せられ、心の奥にある記憶を辿ります。辿れば辿る程、なつかしい気持ちで一杯になり、潤む瞳に映る北上川は遠い昔のふるさとの風景と重なります。思い悩み、体調も最悪な状態にある時、私は北上川に行ったのです。何故行ったかは覚えていませんが、用事があった訳ではなく死を予感し、何かを求めて行ったのでした。治療師さんからも手に負えないと嘆かれ、先がない人生であるならば求めてきた何かに触れたい気持ちで導かれるように行ったのです。11月の寒い季節でした。盛岡の冬は痺れる程寒く、病気の私にとっては過酷な気候でした。体の芯まで冷え込み、凍えそうでした。厳寒の中であっても北上川のほとりに行き、じっと眺めていた冬の日のことが今蘇ります。何故、こんなにもなつかしく、好きなのかはわかりませんが、只見ているだけでうれしくしあわせでした。私の胸に光が差し込んだあの日のことは忘れられません。その後、いだきしん先生に出会えたのです。奥様の晴美さんが北上川のほとりでお生まれになったことを後日知り、私は魂の導きを感じました。晴美さんがお生まれになった場所を私は誰にも教えられずともわかったのです。ずっと知っていた風景だったのでわかったのです。既に幼い頃より出会っていた光景だったのです。光景と共に感じた風、香りまでも蘇ります。生命途絶えそうになりながらも私にはなつかしい光景,風、香りが蘇る時、生きてこれました。お会い出来る前から助けられ生きてきたのです。夏の北上川も素敵です。青青と輝く柳の木が川面に映り、遠い昔を思い出します。北上川のほとりにて、星降る夜に輝く星の向こうに広がる果てない世界に心を馳せ、今は辛くとも未来にはきっと会いたい人に会える予感が生まれていました。青森の大地の声の原稿には偶然にも北上川の詩も入っていたのです。魂の詩であります。私はあまりに辛い事、悲しい事は胸にしまってしまいます。語ることもありません。北上川の詩に託した私の気持ちが青森にて表現出来、凍てつく寒さが和らぎ、春を迎える兆しを感じます。懐かしい、恋しいとしか表現出来ない遠い昔の光景は何を語っているのでしょうか。涙がこみ上げる程の気持ちなのです。この気持ちが在る限り、私はあきらめません。本当のふるさとへ帰れる時まで、遠い昔を閉じ込めることなく、生きていきます。