KEIKO KOMA

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更新日 2010-01-09 | 作成日 2008-03-30


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まだ見ぬ北の大地
美しい花が咲く頃
あなたの悲しみは美しく咲く花に託し
風は
果てない世界へと運んでくれるのでしょうか
只一緒にいるだけが愛でないことを
あなたの魂は知っている
愛は永遠であることを知っている
けれどこの世の恋は刹那刹那に生きる恋
こんな虚しい恋に生命賭けたら 生命までもそして魂までも失くしてしまう
魂なき人間は、永遠の世界を知らぬ幻の恋に生命を賭けてしまう
いつも生霊となり、恋した人の胸に入り込んでくる
愛と錯覚し、魂までもとられ、抜け殻とされる 生霊の恋
私の生命に生きる魂は、永遠の世界に生きる愛を知っている
だから生霊に魂とられ恋が実る時、魂を失った抜け殻となる
この世の恋は生霊が飛び交い、互いを奪い合っている
 
   まだ見ぬ北の大地に夢を馳せ、悩み苦しみの淵にある私は北へ北へと向かっていました。11月の冷えた空気、北上川の畔で輝く太陽に照らされる川面をじっと眺めていました。「柳ゆれる北上川の畔にて」と口ずさむ時、季節は冬になっているというのに、私の目の前に輝く北上川は『柳ゆれる北上川』となって映るのです。美しい緑に輝く川面にふるさとの光景が重なり、遠い昔を思い出すように心の奥深くを辿っていきます。どんなに懐かしく感じ、胸が疼いても何ひとつ思い出す事の出来ない私の心。本当は何を語っているのでしょう。心澄ますと大陸に流れる大河の水面が広がるのです。涙をいっぱいためた川のように、大河の輝きは悲しみの光に満ちていました。
   ふと目の前にあらわれた男の人と出会った時、柳ゆれる北上川の光の色をみました。運命の人と瞬間生まれた言葉に大変驚きました。ところが又、ゴリラなのです。私のまわりにいる男の人はゴリラに似ている人が多いと感じます。私達の高校では、体育の先生が女子生徒に大変もてていました。私の友達は皆夢中でした。その先生がグラウンドを走っている、夕陽に隠されたシルエットに映る姿はゴリラのように見えました。つい口走った時、皆に散々いじめられました。私は何故ゴリラに見えてしまうのでしょうか。ひとつの謎です。そして又、ゴリラです。けれど私は柳ゆれる北上川の光を見てしまったのです。この光は宿命的出会いの光でしょうか、運命の光でしょうか。
 
つづく






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